近年、重い負荷を使わずに効率的な筋肉増強ができるトレーニング法として「BFRトレーニング(血流制限トレーニング)」が注目されています。BFRトレーニングは、腕や脚の付け根に専用のバンド・カフを巻いて血流を部分的に制限することで、軽い負荷でも通常の高負荷運動と同様の効果を狙う方法です。世界的なスポーツ界でも採用例が増えており、トップアスリートやメジャーリーグの選手も取り入れていることが報じられていますwedge.ismedia.jp。
BFRトレーニングとは何か
BFRトレーニング(血流制限トレーニング、いわゆる「加圧トレーニング」)では、腕や脚の付け根に特殊なバンド・カフを装着して血液循環を制限します
。これにより、筋肉内の静脈血流が抑えられて酸素不足と代謝物(乳酸など)の蓄積が起こり、脳は“より高い負荷で運動している”と認識しますhealth.clevelandclinic.org。結果として軽い負荷であっても筋肥大・筋力増加のシグナルが強くなり、トレーニング効果が高まると考えられていますyorozuseikotsuin.comhealth.clevelandclinic.org。
BFRトレーニングの効果
- 筋肥大・筋力向上: 低負荷(通常20~30%1RM程度)で行っても、従来の高負荷トレーニングと同等の筋肉増大・筋力アップが得られることが示されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。実際、BFRトレーニングは筋力や筋断面積を増加させる効果が報告されており、高負荷トレーニングに匹敵する成果を軽い負荷で実現しますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。
- ホルモン分泌促進: BFR運動では代謝ストレスが高まり、血中の成長ホルモン(GH)やIGF-1の分泌が大幅に増加するとされていますwedge.ismedia.jpflextherapistceus.com。研究によれば、加圧時の成長ホルモン分泌量は通常時の20~100倍に達するという報告もありますwedge.ismedia.jp。これらのホルモンが筋タンパク質合成を促し、筋肥大をサポートしますflextherapistceus.com。
- 持久力・機能向上: 通常の筋力トレーニングだけでなく、有酸素運動にもBFRを組み合わせるとVO2maxなど持久力の改善効果が見られますphysiotutors.com。特に高齢者では、筋力・パワーの増大や身体機能の向上にも効果が期待されていますphysiotutors.com。
- リハビリ・痛み緩和: 軽い負荷で筋肉に刺激を与えられるため、怪我や手術後のリハビリにも適しています。BFRトレーニングは痛みの軽減効果も報告されており、ACL(前十字靭帯)手術後などの膝の痛み改善にも役立つという研究例がありますphysiotutors.com。
注意点
- 圧力設定・負荷: 圧力は個人の動脈閉塞圧(AOP)に基づいて設定し、一般には下肢でAOPの60~80%、上肢で40~60%程度を目安としますsportsmith.coais.gov.au。重量負荷は1RM(1回だけ持ち上げられる重さ)の20~40%程度まで軽く設定しますsportsmith.coais.gov.au。
- トレーニング時間・頻度: セットは長時間に及ばないように注意し、下肢は約15~20分、上肢は約10~15分以内を目安にしますais.gov.au。各セット間には3分程度の血流再開(休息)を挟みます。頻度は週2~3回程度が適切です。
- 体調管理: BFRトレーニングでは疲労が強く表れる前に行動を中止し、疲労困憊(ひたいこうはい)まで追い込まないようにしましょうais.gov.au。体調不良や異常を感じたらすぐに圧力を緩めるなど休憩を取りますais.gov.au。
- 禁忌・リスク: 高血圧、静脈血栓症(深部静脈血栓症など)、血液凝固異常(血友病など)のある方は、事前に医師に相談するか使用を控えてくださいais.gov.au。血栓リスクのある状態や循環器疾患、妊娠中などの場合は特に注意が必要ですais.gov.au。
必要な道具
BFRトレーニングには、腕や脚の付け根に巻く専用の加圧ベルト(カフ)が必要です。
市販のBFRバンドは幅広でクッション付きのものが多く、圧力測定機能つきの製品もあります。トレーニングジムなどではBFR対応の器具(BFRバンド、ケーブルマシン用加圧システムなど)を用意している場合もありますが、手軽に始めるなら専用バンド1本で腕・脚いずれにも使用できます
どんな人に向いているか
BFRトレーニングは高重量を扱えない初心者や高齢者、怪我や術後のリハビリ中の方に特に適していますphysiotutors.comhealth.clevelandclinic.org。骨粗鬆症などで重い負荷がかけづらい方でも、安全に筋力維持・向上が図れますhealth.clevelandclinic.org。また、効率的に筋肥大を狙いたいトレーニーやアスリートにも有効です。従来の高負荷トレーニングでは十分な負荷をかけられないケースでも、BFRを組み合わせることで“軽い負荷で大きな効果”を得ることができますphysiotutors.comhealth.clevelandclinic.org。
まとめ
BFRトレーニングは、少ない負荷で高い筋トレ効果を得られる新しいトレーニング法です。軽いウェイトでも通常の筋肥大・筋力向上が可能になり、怪我のリスクを抑えながら筋肉を鍛えられるメリットがありますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。上手に活用すれば、通常のトレーニングでは得にくい効率的な筋肥大を期待できます。特に高負荷トレーニングが難しい初心者や高齢者、リハビリ中の方は、安全な範囲でBFRを取り入れることで筋力アップの可能性が広がりますphysiotutors.comhealth.clevelandclinic.org。科学的な研究結果も増えているので、トレーニング効果を高めたい方はぜひBFRトレーニングの導入を検討してみてください。
参照: 科学論文・専門機関による情報pubmed.ncbi.nlm.nih.govwedge.ismedia.jpsportsmith.coais.gov.auflextherapistceus.comphysiotutors.comais.gov.auなど。